インプラントの学会に参加してきました
2017.10.20
院長の小山祐樹です。
10月8、9日に有明で開催されたOral Reconstruction Symposiumというインプラントの学会に参加してきました。当医療法人顧問の朝波惣一郎先生も座長として参加しています。
近年、歯科領域にもデジタル化の波が押し寄せ、歯の被せ物(クラウン)や詰め物(インレー)などもCAD/CAMで製作することが可能になってきました。CAD/CAMとはcomputer aided design/computer aided manufacturingの略で、コンピューターによってデザインしたものをトミリングマシンや3Dプリンターで製作する方法です。この場合、オーラルスキャナーという特殊なカメラで口腔内を撮影し、そのデータからコンピューター上で口腔内の立体画像を構築するため、従来の印象材という粘土の様なもので形を採る必要がありません。製作までの時間も短いため、今まで被せ物の完成までに1週間程かかっていたのが、症例によっては歯を削って被せ物を入れるまでを当日に行うことが可能です。当院ではセレックというCAD/CAMシステムを使用しています。
この様にデジタル化によって被せ物の製作はかなり変化しましたが、実は最も大きく変化したのはインプラント治療です。インプラントを埋入する穴を骨にドリルで開ける際に、その位置やドリルの方向、深さを治療計画通りに行うためにサージカルガイドというものを使用します。サージカルガイドは、CTから得られる骨の状態と、口腔内模型から得られる噛み合わせの状態から適切なインプラントの埋入位置を考えて製作するのですが、CTがデジタルデータであるのに対し口腔内模型はアナログデータであるため、以前まではこの2つをマッチングさせるのが難しいことでした。しかし、オーラルスキャナーで口腔内や模型をスキャニングすることで、以前までアナログデータであった噛み合わせの状態をデジタルデータで得ることができるようになり、CTのデータとのマッチングが容易になりました。これによって、インプラント手術の安全性が格段に向上し、また、正確に治療計画通りの位置にインプラントを埋入することができるようになりました。さらにはCTを撮影する回数も減ったため、患者様の被曝量も少なくなりました。当院ではsmopというサージカルガイドシステムを使用しています。
近年の歯科医療の進歩には目覚ましいものがあります。常に新しい知見や機材を導入し、日々の診療に活かせるよう努力していきたいと思います。
↓口腔内のデジタルデータとCTをコンピューター上でマッチングし、インプラントの埋入位置を決定
↓3Dプリンターで製作されたサージカルガイド